眼鏡産地の技術がウォッチに「8年の集大成」32mm新作、Makuakeで先行販売

福井県鯖江市の眼鏡製造技術を腕時計に応用するという異業種融合が、新たな段階を迎えます。株式会社サンユーの自社ブランド「IGATTA COLLETTI(イガッタコレッティ)」が、シリーズ開発から8年を経て、待望の小ぶりサイズ「バングルウォッチ32」を2026年5月20日よりMakuakeで先行販売開始。従来の40mmから32mmへのダウンサイジングにより、性別や用途を問わない「ユニバーサルデザイン」としての進化を遂げました。既存の眼鏡製造ノウハウを別領域で活かすビジネス戦略と、職人技による差別化の実例として注目されます。

「眼鏡をかけるように」装着する、特許取得の革新構造

本製品の最大の特徴は、バングル式の独自機構です。眼鏡フレームに使用されるアセテート(天然由来素材)とベータチタンを組み合わせることで、ベルトの留め具を廃した「片手で手首に通せる構造」を実現。この構造は3年の開発期間を経て2020年に特許取得(特許第6716832号)した、サンユー独自の技術です。

従来の腕時計のように「バックルの操作→ベルト調整」というステップが不要になり、眼鏡をかけるような直感的な操作性が実現できます。ビジネスパーソンにとって、朝の身支度の時短化や、つけ外しの気軽さは、日々の利便性向上に直結する価値です。

ダウンサイジング戦略で市場を拡大

新作「バングルウォッチ32」は、従来の「バングルウォッチ40」(40mm)に対し、ケース径を32mm、厚さを8mmに設定。さらにベータチタンプレートの厚みを0.6mmから0.8mmへ増し、「はめやすく、かつはずれにくい」装着感を実現しています。

重量わずか28gという軽量設計と肌にやさしい素材選択により、長時間装着でも疲れにくい設計。こうした仕様の最適化は、従来の大きめサイズでは取り込めなかった女性顧客層や、腕が細いビジネスパーソン層へのアプローチを可能にします。市場セグメンテーションの観点からも、既存顧客の満足度維持と新規顧客獲得の両立を狙った戦略として機能しています。

日本の産地技術×東京の職人が共創する「メイドインジャパン」価値

本製品は福井県鯖江市での素材加工と、東京都台東区元浅草の株式会社サン・フレイム時計組立工房での組立を組み合わせた、国産腕時計です。100年を超える眼鏡製造の歴史で培われた加工技術と、時計職人の技が融合した「日本製」というブランド価値が、消費者心理におけるプレミアム化要因となります。

電池寿命約4年、月差20秒、3気圧防水というスペックは、日常使用に十分な信頼性を備えています。同時に、このような「機能仕様の適切な設定」も、消費者ニーズの過不足を把握した商品企画の成功事例として参考になります。

希少素材×職人の手仕事で「唯一無二」を実現

バングル部分には、1849年創業のイタリア・マツケリ社のアセテート素材を採用。数千種類のレシピの中から厳選した3つのデザイン展開により、素材自体の個性を活かしたプロダクト差別化を実現しています。

特に「削り出す部分によって柄の表情が異なる」という仕上がりの特性は、大量生産では再現不可能な「工芸的価値」を消費者に提供。「世界にひとつだけ」というナラティブは、クラウドファンディングのような先行販売モデルと相性が良く、初期ユーザーの愛好度と口コミ波及を高める効果が期待できます。

3つのカラーバリエーション戦略

  • モザイクカラー:鮮やかな色合いを重ねた華やかなパターン。感情的な購買動機を刺激

  • シックラデン:金と銀のメタリックを黒で引き締めた市松模様。ビジネスシーンでの存在感を表現

  • ドリームカラー:変光パールを組み込んだ幻想的なパターン。限定感と特別感を演出

これらは単なる色選択ではなく、ユーザーのアイデンティティ表現の選択肢として機能します。ウォッチ本体のカラー3色(オールブラック、ホワイト/シルバー、ブラック/ゴールド)との組み合わせにより、計9通りのスタイリングパターンを可能にし、パーソナライゼーション需要に対応しています。

サイズ交換で購入ハードルを低下させる施策

バングルは手首周りに合わせて4サイズ(01〜04、1.5cm刻み)を用意。初回無料のサイズ交換サービスも提供することで、オンライン販売における「サイズ合わなかったら返品」という不安を軽減しています。

Makuakeのようなクラウドファンディングプラットフォームでは、購入決定前の顧客接点が限定的になりやすいため、このような「購入後のサポート体制の充実」が、ブランド信頼度と再購入率の向上に直結します。

産地からの新規事業開発モデル

株式会社サンユーは1982年創業、元々は漆器メーカーでした。その後12年前より眼鏡素材を活用した時計開発をスタートし、現在では時計・アクセサリー・生活雑貨を手掛ける総合メーカーへ進化。このキャリアパスは、「既存技術の応用領域開拓」による事業多角化の典型的な成功事例です。

地方の産地企業が、自社技術の「応用可能性」を認識し、新市場への進出を図るための実践的な戦略として、経営層・新規事業担当者にとって参考になる事例といえます。

自社への活かし方

既存技術の応用領域を再検討する

自社の製造技術やノウハウが、現在の事業領域以外でどのような価値を生み出せるのか。本製品は「眼鏡製造→腕時計」という異業種への転用例ですが、自社技術の隠れた応用可能性を洗い出すことで、新規事業創出の種が見つかる可能性があります。

付加価値化のための「物語」と「個性」を設計する

素材の希少性、職人の手仕事、産地の歴史——こうした要素を製品開発の段階で意図的に組み込むことで、単なる機能商品から「ブランド商品」への転換が可能です。特にクラウドファンディングなどの先行販売チャネルでは、こうした「背景ストーリー」の訴求力が購買決定に大きく影響します。

ダウンサイジングによる市場拡大を検討する

既存商品が「大きめ・高価格帯」に位置している場合、ダウンサイジングやスペック最適化により、従来の顧客セグメント以外の層に訴求できる可能性があります。本製品の32mm化は、単なるサイズ縮小ではなく、市場セグメンテーション戦略としても機能しています。

この記事のビジネスポイント

  • 産地技術の応用領域開拓:眼鏡製造技術を腕時計に転用。既存事業のノウハウを別領域で活かす事業多角化の実例

  • 特許取得による競争優位性:バングル構造の特許化により、容易には模倣されない独自商品を確立

  • クラウドファンディングの活用:Makuakeという先行販売プラットフォームで初期ユーザーを獲得し、ブランド認知と口コミ波及を実現

  • ユニバーサルデザインとセグメンテーション:32mmサイズは性別や体格を問わない市場拡大と、新規顧客層の取り込みを同時に実現

  • ナラティブによる付加価値化:素材の希少性、職人の手仕事、産地の歴史といった「背景ストーリー」が、プレミアム化と購買動機を支える

  • 購入ハードル軽減施策:無料サイズ交換などのアフターサービスが、オンライン販売における顧客信頼度向上に寄与

引用元:レターリリース