なぜいま、帳票の自動読み込みが注目されるのか
物流業界で今、「アナログ業務の効率化」が急速に進み始めています。背景にあるのは、相次ぐ法改正への対応と、深刻な人手不足です。特に荷主からの発注内容をシステムに手入力する業務は、毎日大量に発生しながらも依然としてFAXベースで処理されているケースが大半。この非効率な作業に時間を奪われている物流企業は、実は非常に多いのです。
こうした状況に対し、生成AI技術を活用した新しいソリューションが登場しました。ハコベル株式会社が開発した「AIデータコンバーター」です。同社の内部検証では、この帳票自動化システムにより、従来1日約75分かかっていた入力作業が15分に短縮され、実に80%の時間削減に成功しました。6月からの販売開始を控え、物流現場がどのように変わるのか、その仕組みを詳しく解説します。
従来のOCRでは対応不可能だった「物流特有の課題」
帳票の読み込みといえば、OCR(光学文字認識)技術が思い浮かぶかもしれません。しかし物流業界の帳票は、一般的な文書とは異なる厄介な特性を持っています。その最たる例が、カレンダー形式での情報記載です。
たとえば、定期的な配送スケジュールをカレンダーに記入する場合、「〇印がついている日が積込日で、その直後のV印がついている日が配送日」というように、企業独自のルールで暗黙のうちに情報を伝えていることがあります。こうした「記号の組み合わせで意味を持つ」情報は、従来のOCRでは判別が困難でした。AIデータコンバーターは、こうした独自フォーマットにも対応。荷主側が業務フローを変えることなく、受注側だけで大幅な効率化を実現できるのが特徴です。
単なる「読み込み」ではなく「データ整備」まで代替する仕組み
AIデータコンバーターのもう一つの強みは、単に帳票の情報を読み取るだけでなく、データとしてシステムに活用できる形に「整備」する点です。現場では、長年の取引で「暗黙の了解となっている情報」が多く存在します。たとえば、常に発注者と受注者の間で共有されている固定情報が、帳票には記載されていないケースが考えられます。
また、発注者の帳票では複数項目に分けて記載されている情報を、受注側のシステムでは一項目として扱いたいといった、フォーマット間の「ズレ」も日常茶飯事です。従来はこうした情報補完や項目の割り当てを、すべて人手で行っていました。AIデータコンバーターは、マスタデータの引き当てや固定値補完といった機能を通じ、人が頭で処理していた「データの意味づけ」を自動化します。このため、取引先ごとに異なる帳票フォーマットに対しても、都度設定を変更することなく対応できるのです。
CSV出力で、システム間の連携もスムーズに
もう一つ注目すべき点は、出力形式の柔軟性です。AIデータコンバーターはCSV形式でデータを出力するため、配車システムだけでなく、WMS(倉庫管理システム)や基幹システムへの連携も容易です。物流業務で扱う情報は、輸配送のみならず生産・在庫管理や会計といった複数の部門で活用される性質を持っています。
つまり、一度読み取られたデータが、社内のさまざまなシステムで再利用できるということです。これにより、システム連携に大規模な予算投下が難しい中堅・小規模な物流企業でも、自社の運用に最適なツールの組み合わせで、無理なくDXを推進することが可能になります。
実例:1日の作業時間を75分から15分に短縮
ハコベルの運送手配マッチングサービス内で行われた実証実験の結果は、その効果を数字で示しています。車両手配や実運送体制管理簿の作成に必要な「荷主からの発注内容をシステムに入力する業務」を、AIデータコンバーターのベータ版で自動化したところ、従来1日あたり約75分かかっていた作業が15分で完結するようになりました。
80%の時間削減というこの実績は、決して一時的な効果ではなく、日々繰り返される業務であるだけに、月間で数十時間、年間では数百時間の業務時間が浮く計算になります。こうした時間を、より付加価値の高い業務にシフトさせることで、組織全体の生産性向上につながる可能性は大きいといえます。
6月販売開始へ、物流業界全体の業務効率化へ動く
AIデータコンバーターは2026年6月から販売・提供が開始されます。ハコベルのサービスを既に導入していない企業でも利用可能という点も重要です。これにより、物流業界全体に広がる「アナログ業務の自動化」の波が、さらに加速することが見込まれます。
今後、FAXベースの帳票処理に課題を感じている物流企業や運送企業、発注側の企業にとって、このソリューションは検討の価値がある選択肢となるでしょう。デジタル化の第一歩として、こうした日々の帳票処理から始めることが、実は業界全体の競争力強化につながる時代が到来しているのです。
まとめ
生成AIの活用により、物流業界の「やっかいなアナログ業務」が急速に自動化可能な時代へと進みつつあります。業務時間の大幅削減だけでなく、データの質と活用の幅が同時に広がる点に注目です。
※本記事は、https://prtimes.jp/をもとに作成しています。